よこなのへたのよこずき

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コミュニケーションの方向に着目したふりかえりの方法

前職FOLIOではめっちゃいろんな経験をしたので、今更ながら少しずつブログに出してみることにしました。


はじめに

今回のテーマはチームの「ふりかえり」です。レトロスペクティブとか言ったりもするアレ、KPTとかやるアレです。
多くのチームと同じように、私の所属する開発チームも定期的なふりかえりを行っていました。会の構成を決めファシリテーションをするのは私です。

ふりかえりを進めるのは結構難しく苦戦しましたが、「これで上手くいってるのかな?」「どうしたらもっと良いふりかえりができるかな?」と考えながら色々試していくと、解決したい課題や改善点が段々と見つかってきました。そんな中、行き着いた*1方法があるので紹介します。

ふりかえりのやり方

道具はありきたりで、ホワイトボードとふせん(色の区別はしないので1色で十分。カラフルでも別にOK)です。
まずはホワイトボードを縦に1本区切り、左は「ポジティブなこと」右は「ネガティブなこと」のエリアとします。さらに、ポジティブエリアを3つ、ネガティブエリアを2つに分けます。

ふりかえりで書き出すものと配置

そして、各エリアに該当の付箋を貼り出し、皆で時計回りに見ていくというものです。

なぜこの方法を取ったか・解決したかった課題

課題に対するアクションの議論で時間足りない問題

過去にふりかえりの時間が足りなくなることがよくあったので、改善のひとつ*2として「議論しなくていいものは議論しない」仕組みを取り入れようとしました。
上下に分かれているネガティブエリアは、簡単に言うと要議論なもの(下)とそうでないもの(上)です。上半分はとにかく自分の中から外へ「出す」ことを重視して読み上げつつおしゃべりするだけとし、下半分はチームで受け止め時間をかけて話し合います。

この分類を思いついたきっかけは、たまたま目にしたばふぁ(@bufferings)さんのツイートでした。

「Keepしたいわけじゃないけど良いなと思ったこと」と「解決したいわけじゃないけど何か嫌だったなーと思ったこと」もあるよねーって。

「確かに今まで、ネガティブな内容というだけで、アクションを取らなくていいことにも検討の時間を割いていたかも?それって本当に必要?」とすごくハッとしたのを覚えています。

チームの頑張りに目を向けて欲しい気持ち

当時のチームは、新しいプロダクトをどんどん出すような作業より、地道で人目に触れない改善、歴史あるマイクロサービスのリファクタリング、金融業界特有の法的要件とじっくり向き合う静かだが激しい戦いなどが多いという特徴がありました*3
ただメンバーはハンパなく優秀で努力家で真面目で、すごすぎてすごかったので(語彙消失)、プロダクトという形とは違うところでも、チームの良いところをいっぱい見つけてワクワクして欲しい思いがありました。しかし、日々作業に没頭していると、そんなことを気にかける余裕がなくなったりもします。

そこで、「誰に対する」ポジティブな気持ちかを軸に、3象限に分けて丁寧に見直す習慣を作りました。

  • チーム(または個人) で続けたいこと
  • 自分 がドヤりたいこと
  • チームメンバー にお礼したいこと

軸について補足すると、漠然と「いいことを挙げてください」と言われたとき、チームの変化に気付くのか個の良さに目が行くのか、他人を褒めるのか自分の成果を堂々と表現できるのか、その結果にはかなり個人差があると感じます。それをふまえて、誰もが、チームも個も、他者も自分も見つめてみてほしいなと考えての工夫でした。
なお、いずれも議論が必要なことは少なく、簡単な読み上げとともに、皆で喜びの共有や拍手をしながら全部見ていって終わりです。

実際のホワイトボード

5象限の意味

それぞれの解説でも書きましたが、分かれた5つはどれもコミュニケーションの方向が異なると言えるのではないかと自分なりの整理をつけています。もちろん超正確に分類できるわけではないので話半分というか、なんとなくこんな気がするというだけですが😏

おわりに

ふりかえりはチームの数だけやり方や特徴がありそうですが、そうしたスタイルが確立された後も、マンネリ化させずに「今のベストなふりかえり」ができているか考え続ける必要があるなと思います。って、何事もそうですよね。ミーティングの場だけ設定してノー準備で「先週と同じ!」というのはなるべく避けたいですね。

参考にした書籍

ばふぁさんのツイートのみならず、大好きな『アジャイルレトロスペクティブズ』も大いに活用しました。いつもアイディア出しを助けてくれる素敵本です*4

今回書いたアクティビティは本にある「喜、怒、哀 (Mad Sad Glad)」をかなり参考にしています。
あと、紹介は割愛したんですが、「満足ヒストグラム」を参考にしたアクティビティも毎回やっていました。

手法の名前(どうでもいい余談)

先日、以前このふりかえりを一緒にやっていた奥田ニキ(@yoskhdia)から「あのふりかえり、名前ある?」と連絡もらったんですが、特に考えていなかったのでそう伝えたところ…

こうなりました。

('_')!?

*1:ゴールがあるわけではないのでもちろんいつまでも改善し続けるべきですが、数ヶ月はこのやり方で安定していました

*2:他に思いつくのはファシリテーションの質を上げる、開催時間を伸ばす、などですね

*3:こういう特徴がないチームでも同じやり方で問題ないと考えていますが、こうした特性はかなり気にしていました

*4:過去にこんな記事: 『アジャイルレトロスペクティブズ』を読み、ふりかえりで「KPT」以外の技を繰り出そう - よこなのへたのよこずきも書いています