『アジャイルレトロスペクティブズ』を読み、ふりかえりで「KPT」以外の技を繰り出そう

かれこれ1ヶ月ほど前でしょうか、チームで新しいことを始めようとしてるんだけどイマイチ進まないな〜という状況が訪れたので、ふりかえりをすることにしました。ここ数ヶ月属してきたチームでは、振り返りというと同僚の@Mura_Miによる次の記事にある方法が便利で、よく使ってきました。また、以前は定番の「KPT」をやることもよくありました。

t-and-p.hatenablog.com

ところが、今回やりたいふりかえりは、これまで取り組んだ手法ではワークしない可能性がありました。というのも、まだこれからやっていくぞというフェーズなので、見返せるような具体的な材料がスムーズに出せなかったり、チーム内のコンテキスト共有が不十分で不完全燃焼な議論に終わったりしてもおかしくない状況だったためです。
なお、弁解しておくと、コミュニケーションが苦手あるいは不足しがちなメンバーというわけではなく、「新しいこと」に向かう姿勢やイメージがまだ十分に議論・共有できていない時期だったのです。具体的には、またまた@Mura_Miによる記事 FOLIO を支えるエンジニアリング組織の七転八倒記: 2018年冬 - TechとPoemeの間 に記載の、バックエンドエンジニアをサブグループ化した直後でした。

また、これはフェーズや手法云々ではないのですが、

  • 具体的なアクションに結びつかない
  • 継続的な効果測定ができない
  • ふりかえり自体に価値があったのか曖昧である

といった課題を残すふりかえりを過去に何度も経験してきました。

せっかく集まるからには

  • 全員がアイディアを持つことができ、発言できる
  • ふりかえりの場の具体的なゴールを定め、達成する
  • 議論した内容がその場限りにならず、何らかのアクションに結びつく

を目指して準備をしようと決めたのですが、具体的なアイディアが浮かばず…。どうしたもんかと考えていたとき、以前@syobochimさんが書いていたブログ記事を思い出しました。

syobochim.hatenablog.com

ここで紹介されている『アジャイルレトロスペクティブズ』、タイトルのとおりレトロスペクティブのhow-toやTipsが記載された本です。ふりかえりの具体的な方法も紹介されているようだったので、明日使える知識として何かヒントが得られればと手に取ってみました。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

📖読んで学んだこと

💁ふりかえりをする会の構成

会の時間のすべてを、課題の抽出と解決策の検討にあててしまうことってよくありますよね。ところが、『アジャイルレトロスペクティブ』では、次のような構成に分けて取り組むことが有効だと述べています。

  1. 場を設定する
    • まず集まったメンバーに感謝を述べ、会の目的と目標を伝える
    • 全員が1度口を開くチャンスを与える
    • 会の進め方を説明する
    • チームの「価値」や「約束」を再確認し、見直す (ない場合は設ける)
  2. データを収集する
    • 客観的なデータ(開発した機能、完了したストーリーなど)を収集する
    • チームメンバーの感情を確認する
    • 集めたデータをレビューする
  3. アイディアを出す
    • 起こったことの原因や物事のやり方などについて考え、よりよい方向へ進むためのアイディアを出す (解決策には飛びつかない!)
  4. 何をすべきかを決定する
    • アイディアから、取り組む項目を決定する
    • 担当者を決める
  5. レトロスペクティブを終了する
    • 板書や付箋など、アウトプットを記録に残し、共有する
    • レトロスペクティブ自体に価値があったかどうか振り返る

💁ふりかえりを計画・実行するための進め方

何を検討してどう計画を立てたらよいか、実際のふりかえりの場においてどんなことを管理したらよいかといった内容も、具体的に考えねばならないことと併せて分かりやすく示されています。

  1. 計画する

    • チームを知る
    • 目標を決める
    • 場所を決める
    • 全体の時間とタイムボックスを決める
    • 取り組むアクティビティを決める
    • 参加者を決める
    • 周りのサポートを受ける
      など
  2. 実行する

    • アクティビティを管理する
    • 集団ダイナミクスを管理する
    • 時間を管理する
    • 自分自身を管理する
      など

💁さまざまなふりかえりの方法

ページ数も多く割かれボリュームたっぷりなのが、会の構成に沿った分類で紹介されているふりかえりの方法たちです。

  • 「場を設定する」アクティビティ: 6種
  • 「データを収集する」アクティビティ: 8種
  • 「アイディアを出す」アクティビティ: 9種
  • 「何をすべきかを決定する」アクティビティ: 6種
  • 「レトロスペクティブを終了する」アクティビティ: 9種

種類の多さを示すために数字だけ書きましたが、どんなものがあるか、こればっかりは実際に本を見てみるのが1番です。世の中KPTだけじゃないんや・・・。
これだけあれば、面白そうなものや使えそうなものもきっと見つかりますし、「長期のイテレーションに向いている」といった、役立つシーンについての説明もあるのが検討時には嬉しいです。

📖やってみたこと

自分のチームの状況に合っていて良さそうだと思った方法をいくつか実際に取り入れる予定でアジェンダを組みました。

  1. 場を設定する: 「チェックイン」を使おう
  2. データを収集する: 「満足ヒストグラム」を使おう
  3. アイディアを出す: 「5つのなぜ」を使おう
  4. 何をすべきかを決定する: nullを使おう
  5. レトロスペクティブを終了する: 「投資時間対効果」を使おう

null... 4つ目だけは本から合いそうなやつが見つからず、知っている方法でなんとか目的を達成しようと決めてしまいました。

💁うまくいったこと

上に挙げた方法でいうと、やり方もシンプルで明確な「満足ヒストグラム」だけは機能した気がします。 それ以外だと、

  • 目的
  • 目標
  • タイムボックス

をしっかり決めておいたので、進行する上で派手に迷うことがなく、なんとか場のゴールにたどり着くことができました *1

💁うまくいかなかったこと

正直、準備していた方法のうち、「満足ヒストグラム」以外はろくに実行できていません。敗因は

  • 本で学んだことを自然あるいは臨機応変に使えない (おそらく理由含めての理解が足りないので、HOWを真似するので精一杯になる)
  • 会の時間を短く設定しすぎた
  • チームの現状に対する理解が足りなかった
  • 諦めた (会のゴールさえ達成すればいいやと早々に思考を切り替えてしまった)

などだと思っています。

💁所感

うまくいったこともいかなかったこともありますが、この本は頻繁に見返したいし、行き詰まったときにヒントをくれる存在として活用していきたいです。
このエントリを書くにあたって読み返してみて、理解しきれていなかった部分や欠落してしまっていた部分も明らかになりましたし・・・。幸いチャンスはたくさんありそうなので、効果検証しながらいろいろ試してみます。

📖おまけ

そもそもファシリテーションをするときの姿勢みたいな話になりますが、準備してうまくいくイメージを持っておくことってとても大事。と最近改めて思うことが多いです。慣れていてもぶっつけでは質が落ちるし、時間がないからってサボると結局集まった人の時間が無駄になりかねません(エビデンスはあまり持ち合わせていませんが、新卒研修でも『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ』でもそう言ってましたし、経験上そう。もちろん、ただただ能力が高くてできちゃう人もいますが)。準備をしてうまくいく保証はないが、準備をしないとうまくいかないことが多々あるといった感じでしょうか。地道に、知識のインプットと経験を積み重ねて、その質や効率を高めていきたいですね。

*1:チームメンバーが自分より大人なので…絶大なサポートあってですが